日韓交流とは~ひろばインターンシップを通じて~

法政大学 国際文化学部

長岡里佳

 

 

私は現在大学四年生であり、大学生活では主に朝鮮半島について言語や文化を包括的に学んできた。大学生活の最後の一年間をソウルで交換留学することとなった。しかし私は「学問」を通じてだけではなく「仕事」を通じて自分の肌で直接、韓国社会について感じたかった。コリアプラザひろばでの仕事は主に日韓交流を叶えることである。例をあげれば日韓ワークキャンプや、韓国語マンツーマンサポート、インターンシップ、ホームステイ等様々な分野で日韓交流を支えている。様々な形での「日韓交流」について仕事を通じてみて感じたことは、本当に日韓交流を支えているのは、日韓を代表する者や企業や有名人では決してない。彼らの「影響力」とは別に注目しなければならないのは「影響を受ける側=私たち」の反応である。2004年の冬ソナブームから今年で10年経つが、日韓交流にも波があった。それは観光業や音楽、テレビ業界など「消費」の波でもあり、今では消費が望ましいほどの波をみせていないのが現実だ。しかし新聞やテレビの報道だけをみれば、最近では「日韓関係悪化」が特にささやかれているだろう。それは決して「真っ赤な嘘」ではないと思う。しかし国家というものは対立があるからこそ存在し、同時に報道が重要視している分野は「政治」「経済」などの国家間の利益と消費であり、それらは「対立」せざるを得ない部分が発生するものである。

特に日韓関係を語るに外せない部分は領土問題である。韓国の中高生らが島根県に漂流する韓国からのゴミを収集するボランティアをしているのだが、そのボランティア活動の中で日本では島根県に管轄されている「竹島(韓国では独島)」を始めとして議論が沸いたのである。私は正直避けたい部分であった。なぜなら私は日韓交流をするのに「対立」は極力避けて、楽しい部分だけ見つめていたかったからである。日本人の中には韓国で盛んに領土問題が議論されることに抵抗を感じる人が多く、韓国では確実に日本以上に領土問題に多くの人が敏感である。その理由や、それぞれの主張の違いについて一度は考えてみる必要があると思う。あの論議を交わしたことは私にとって良い機会だったと感じる。勿論、解決済みではないし、ここで私が領土権に関して明確な答えは述べられない。なぜなら私は歴史学者でもないし、領土権について深く勉強してきたものではないからだ。ただ、日本人も韓国人も「感情論」で領土権を語ることは危険であり、両国それぞれが述べる理由の文献を読んでみる必要がある。日本語と韓国語を両方使えることがここで素晴らしく発揮できると思う。

私は10年前から本当に望ましい日韓交流とは一体何なのかについて、考えてきた。国家を含めた日韓間の企業や人々を協力しあえる関係づくりをしたいのが本当の心の声であるが、簡単なことではない。それは21世紀に入ってから経済や世界の流れがグローバル化を迎え、一個人の力だけでは到底変えることのできないものであり、技術が必要である。また国家と国家が良い関係を維持するのにも感情論では到底成り立たない。「利益」「発展」が求められるのである。

 

それでは私の目指す日韓交流の役割・使命とは何だろうか。今後私は日本人や韓国人がそれぞれの国に興味を持ち、勉強したいと思ったときに交流する場をいつでも確保し、促進することである。根本的に学習者を増やすことは私には難しいが、そのような場を維持し続けることが私の役割だと思う。メディアの受け取り手が感情論をもとに判断するのを防ぐよう、冷静な判断ができるよう、言葉を学び、メディアの意見に振り回されない情報力と理解力を備えられる日本人と韓国人をたくさん精一杯支えていきたい。