瞬く間に過ぎた1ヶ月
熊本県立大学 文学部 日本語日本文学科
原口 結衣
韓国には昨年の秋に初めて訪れました。もちろん、最初はすごく緊張しました。(初海外なので、もちろん入国審査を経験するのも初めて。その初入国審査で2回もアゲインとなったことは今では笑い話になりました…笑)けれども、韓国人の温かさなどに次第に惹かれ、今では勝手に韓国を第二の故郷のようにまで感じています。大学で日本語教育学を副専攻としているため、昨秋は海外教育実習の一環で10日間のホームステイ生活を送りました。その際、「知りたい!」という気持ちがものすごく伝わってきて、韓国人の勉強する姿勢に魅了されました。そのことをきっかけに、以前に増して日本語教育学に対する興味が湧いている中、大学4年生になり、人生最後の夏休みをどうにか有意義に過ごしたいという思いから、今回、1か月間、韓国に来ることにしました。
けれども、私は韓国語を話すことができません…。今までに3回韓国に来たことがありますが、どれも友人宅へのホームステイで、今回は初一人韓国…。なので、どうしたものかと、大きな不安を抱えたまま入国しましたが、KOREA PLAZA HIRABAでは、日本人の方が働いていらっしゃったため、最初の不安の5割はすぐになくなりました。加えて、お二人とも優しい方々で、毎回HIROBAでお会いするのを楽しみに行っていたほどでした。初めに、私が日本語教育学に興味があることをお伝えすると、日本語マンツーマン授業をしてはどうかと提案してくださったおかげで、これ以上にない有意義な時間を送ることができたと、本当に心から感謝しています。
最初はポスター作製から始まりました。白紙のA4用紙1枚を目前にして、どう書けばよく伝わるか考え、韓国語で書くことにしましたが、先に言った通り、韓国語が全くできないので、翻訳機を頼ることに。自己紹介の文として「韓国が大好きな大学生です!」といった一文を書きましたが、助詞の当て方が間違っていたようで「韓国が私のことを好き」といった意味になっていたらしく……。韓国語教室の先生が優しく教えてくださって、きちんと訂正はしましたが、その時すでに二週間は経っていたので、顔を赤く染めることとなりました(笑)あとはカカオトークで宣伝をしたのですが、思っていた以上の反応があり驚きでした。ほぼ初めて日本語に触れるという方から、日本語でのコミュニケーションを目的に受講してくださる方まで十人十色でしたが、皆さん、一生懸命に真っすぐな瞳をこちらに向けてくださるので「もっと頑張らねば!」と常々感じる日々でした。生徒さんの意欲がとても大きく、一人当たり2時間の授業で、逆に私の方がたくさんのことを勉強させてもらいました。また、私の授業を受けてくださった方で、数人の方が好意を抱いてくださり、プライベートでも何度かご一緒させていただいたりもしました。その中の一人、50代の女性の方がいつも「韓国人は情け深いんですよ^^」とおっしゃっていましたが、本当にその通りで、私の授業を受講してくださった方とお食事をした時に、そのお友達の方もご一緒することがあり、皆さん驚くほどに優しくていつも心が温まっていました。
日本語授業とインターンシップで楽しむかたわら、韓国満喫のための時間も惜しみませんでした。韓国語を話すことができないので、せめて耳を慣らすだけでもと思い、時間があれば外へ足を運びました。住まいはホンイク大学の近くで、KOREA PLAZA HIROBAまでは歩いて15分ほど。毎日、ホンデのにぎやかな街並みの中を行き帰り通っていました。他には、ヨンナムドンやシンチョン、ドノン、トンデムンン、カンナム、チュンチョンなどへと足を運び、自分のお気に入りスポットをどんどん増やしていきました。それだけでなく、初週には全くもって理解不能だった韓国語が、いくらかわかるようになり、なんとなく会話もつかむことができるようになったので、自分でも驚いていました。また、どこへ行っても、片言の韓国語を話す外国人に対して優しく接してくれる現地の人々には本当に感謝をおぼえました。
日本では、韓国に対する考え方が明暗真っ二つに分かれているように思います。私は昨秋、初めて韓国に来るまではその「暗」の面ばかりに目を向けてきました。けれども、事実「明」の方が多く目につくことを知りました。これは、実際に日韓異文化交流をしたからこそ、知ることができたものだと感じています。「日韓異文化交流」といってしまうと、なんだかすごくかたいもののように思えますが、「異文化」を体験することこそが世界を広げる第一歩だと私は思います。例えばそれが、一泊二日の弾丸旅行だったとしても、立派な異文化交流です。日本国内にいる他国からの留学生との交流も然り。
この日韓異文化交流に一役買っているのが、まさしくACOPIA並びにKOREA PLAZA HIROBA だと思います。これは、今年2月に、ACOPIA主催のKJEJというプログラムに参加した韓国人学生が熊本県立大学に1か月間来てくれた時にも感じたことです。また、今回KOREA PLAZA HIROBAでインターンシップをさせていただいてからもこのことを再確認することができたように思います。
1か月間は、本当に瞬く間に過ぎていきました。初めは10割あった不安が、インターン初日には5割減り、日本語マンツーマン授業での生徒さんとの出逢いで1割、また1割と減り、韓国のあらゆる一面を目にすることでまた1割減り……。今では不安は全くありません。それは、この1か月間、本当に多くの方々に支えられてきたからこそ言えることだと思います。この場を借りて、心より感謝申し上げます。おかげで、人生最後の夏休みをこれ以上にない最高の時間にすることができました。
日本へ帰国後は、今回学んだことを自分なりに発信していけたらなと思っています。そして、いつか、私の「日本語教師になって、世界異文化交流に貢献する」という夢を叶えに、ここ韓国へ戻ってこられたらと思います。今回、1か月間の韓国滞在と日本語マンツーマン授業を通して、この思いはさらに強いものになりました。きっと、必ず叶えてみせます!まずは、その時のために韓国語をマスターしなければなりませんね^^;